10月5日(日) 対 青山学院大学@熊谷ラグビー場14:00KO
まさか――。
響き渡るノーサイドの笛を誰も信じたくない。
まだ勝てる、まだ大丈夫、そう思っていたい…。
秋晴れの空の下歓喜する青山学院を、立教は言葉もなくただ呆然と見つめていた。
試合は開始から立教の思い通りに進まなかった。 1分、青学がラインアウトからモールを形成。少し押される。なんとかターンオーバーするも、再びラインアウトからモールを押されてしまう。主将の高須健は「最後まで押し込まれる恐怖はなかったけど、相手はずらすのがうまかった」と振り返る。相手のペナルティなどで難を回避するが、立教もミスが多くなかなか前に進めない。
「圧倒」。それが今日のゲームのテーマだ。そのためには開始から10分、最初に相手に苦手意識をもたせなければならないはずだった。しかしそうはいかない。3年ぶりの勝利を狙う青学のハートが立教のそれを上回っていたのかもしれなかった。
前半 12 分、敵陣内スクラムからボールを出し、ラックなどポイントをつくりながら前に進もうとする立教だが、青学の魂のディフェンス(それは本来立教がするはずの…)に阻まれ苦戦。ターンオーバーを許してしまう。相手のWTBがキックでラインブレイク、そのまま自分で走ってゴール右側に先制トライを決めた。コンバージョンキックも決まり0−7。
予想以上の猛攻に立教は動揺を隠せない。16分には、自陣内青学ボールのラインアウトを左オープンに展開され、2本目のトライ。27分にも立教陣内スクラムから左に展開した相手を止めきれず、3本目のトライを奪われた。
36分、SO木暮元就のキックなどで陣を進めライン際まで攻め込むも、これはトライにつながらない。しかしロスタイムにはいった43分、敵陣ライン際のラインアウトからモール、そしてラックを形成。この試合で怪我から復帰のLO矢島彬が持ち込みトライをきめた。木暮のコンバージョンキックはわずかにポールを外れ、5−17で試合を折り返す。
後半、気持ちを入れ替えて臨むもなかなか攻めきれない。「立教、ひた向きじゃないと勝てねぇよ!」チームを鼓舞する言葉が飛ぶ。しかしもう、その言葉が出る時点で負けは決まっていたのかもしれない。同じとき、青学サイドは「死んでも走れ」と叫んでいた
29分、青学のPGがきまり5−20。これで2トライでは返せない点差になった。それでもまだ、諦めない。あと10分。ロスタイムをいれればまだ15分ある。3本。3つトライすれば。15分に3つ…。
35分、青学陣内ラインアウトからモールを形成し、ライン際まで攻め込むもペナルティで足を止める。37分、再び青学陣内ラインアウト。モールを形成し右オープンに展開するがノックオン。3度目の青学陣内ラインアウト。時計は42分を指している。右オープンへ…パスされたボールの軌道にいるのは青学、インターセプト。途中出場の22番が走りきってダメ押しのトライを決めた。ゴールも決まりスコアは5−27。まだ時間はある。一本でも、あと一歩でも進みたい。なんとか、なんとかして――
訪れた後半46分、ノーサイド。
両手を突き上げ喜びを爆発させる青学フィフティーン。グラウンドに飛び出す控え選手。立教は、地に倒れるでもなく、声をあげて涙するでもなく、その場に立ち尽くした。
青学が円陣を組み、凱歌を歌い始める。 それは2年前の光景そのもの。
違うのは互いの立場が入れ替わっていることだけだった。
「気持ちが相手の方が強かった」。副将・川村祐一は落胆を隠せない。主将・高須は「立教はムラがあるチーム。試合前はゲームの内容もスコアも圧倒しようと言ったけど、青学の挑戦を受ける気持ちになってしまった」と語った。
青学の合言葉は「チャレンジ」。一昨年、昨年と負け続けの立教に対して、勝利を呼ばぬプライドはさて置いて、勝つために、「チャレンジ」という言葉に心を一つにしてきた。ある意味この一戦に懸けていた。
それに対して立教は、どこか「今年もいけるんじゃないか」の余裕があった。一生懸命やっていた中の、ほんの少しではあるが。
青学と立教の間にさほど力の差はなかった。
気持ちだ。
しかし立教にとっての救いは、この敗戦は全ての終わりではないということ。
あと3戦ある。しかも筑波大戦と日体大戦の2試合が残っている。
「気持ちをリセットして、死ぬ気で一日一日を大切にしていきたい」と語った川村副将。
「死ぬ気で」。
Bグループで最下位になった次の年に全勝優勝し、昇格。
Aグループで全てのチームに大差で敗戦した次の年には青学に初勝利。
今日、立教は青学に負けた。
この敗戦を、ただ敗北の記憶のひとつにしたくない。
濃紺の戦士たちは再び立ち上がる。
今日のノーサイドを、終了ではなく始まりを告げるノーサイドだったと言うために。
【試合を振り返る高須主将】
最初に青学にトライをとられたことが全て。そこで受身になってしまった。後半は、焦ったゲーム展開が前半から続いてしまった。点をとりたくて焦って、無理やり攻めても結局陣取りに失敗した。今日の負けは全て気持ちの問題。青学の挑戦を受ける気持ちになってしまった。
【3年ぶりの敗戦に落胆する川村副将】
チーム全体として(技術の)差はないが、気持ちがあいてのほうが強かった。筑波大戦に向けて気持ちをリセットして死ぬ気で一日一日を大切にしていきたい。
【怪我から復帰後初公式戦のLO矢島彬】
B戦を2試合して、自分自身の調子はあがってきていた。復帰戦ということで、気合もはいっていたしビックプレーも狙っていこうと。ラインアウトは分析していて、後半は修正でき、ボールをとることもできた。マイボールラインアウトがとれなかったことは課題。前半ロスタイムのトライで、チームが乗っていければいいと思ったが、時間が遅すぎた。筑波戦は、もう背水の陣。死に物狂いでやっていくしかない。
(文章:麻田 江里子)
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