2月10日(日) 対 成蹊大学@熊谷ラグビー場14:00KO

恐れていたことが現実に――。
聞き慣れた「ピ、ピ、ピピー」と四年振りの「ワァー!!」。
二つの音は重なって、これでもかと彼らの胸に響いていた。

運命の日、熊谷は強風と寒気に見舞われた。
前半、立教は風下に陣を敷く。
開始から両者譲らず、なんとか流れを引き寄せようと激しい攻防を繰り広げた。
14分、成蹊にペナルティゴールで先制される。0−3。
23分には立教がカウンターから左オープンに展開。今日は今季初・No.8で出場の高須健が、右足にしがみつくディフェンスを振り切ってトライ!歓喜に沸き立つスタンド。キックは大きく右に逸れたが5−3と逆転した。
26分には怪我から復帰が待ち望まれたCTB小林道弘がラインブレイク。30分には高校時代から小林の先輩であるWTB内田大介もタックルでターンオーバーするなど、チャンスを掴むが惜しくもペナルティで得点にはつなげられず。
反対に39分には2本目のペナルティゴールが成功し逆転された。
5−6とリードされて後半を迎えた立教。
しかし勝負は後半。
最後の20分に走りぬく意思とラグビータウンの追い風が濃紺を加速させる…はずだった。

後半21分、敵陣でのラインアウトから左へ展開するとポイントを作りながら前へ進む。途中出場のSO木暮元就のタッチキックは5メートルライン付近に。成蹊ボールのラインアウトをここぞとばかりにターンオーバーするとゴールラインに攻め込んだ。しかし惜しくもラックでペナルティ。チャンスを逃してしまった。
後半の一進一退の展開の中、先に沈黙を破ったのは成蹊だった。
28分、成蹊ボール立教陣内スクラムから左に展開。SOの蹴ったボールを成蹊がキャッチするとラックを形成。SHがブラインドサイドに抜けて左のライン際を駆け抜ける。立教は必死にタックルするもCTBへとボールはつながり、トライを許してしまった。コンバージョンキックは厳しい角度。だが運命は挑戦者に味方した。左に逸れるかと思われたボールは、向かい風に煽られ大きくカーブを描き、ゴールポストへと吸い込まれていった。
しかし立教も譲らない。34分にペナルティゴールを成功させると8点のリードを5点にまで詰め、残り10分に望みをつないだ。
その後はもう、「何としてもトライを決めて1部の座を守りたい」気持ちと「守って攻めて悲願の1部への扉を開きたい」気持ちのぶつかり合いだ。焦る立教と死に物狂いの成蹊。どちらが勝ってもおかしくない。気持ちの大きさに差は全くない。30人の1プレー1プレーが必死そのものだった。
37分、成蹊のハイタックルから敵陣でラインアウトのチャンスを掴んだ立教はトライにあと一歩のところまで迫るが再び成蹊がペナルティ。次のラインアウトでは立教がペナルティをとられた。
しかし再びゴールライン際でのラインアウトのチャンスを得た立教はラックであと2メートルのところまで攻め込むも、また反則で得点できない。時計は40分を指している。ロスタイムは4分。気持ちはひとつ。「勝ちたい」…いや、「勝たなければ――」。
SO木暮のPKが相手ゴールライン左に出ると三度チャンスを掴んだ立教が攻めに攻める。ラインアウトは成功。あと3メートル、あと2メートル、力で、気持ちで猛然と食いかかる。しかし非情にもここでペナルティ。
そして、ノーサイド。

瞬間、レフリーが時計を確認し、笛に手をかけたときにもう成蹊は叫んでいた。
何しろ「4度目の正直」である。
夢にまで見た、抑えられぬ気持ちが声となってあふれ出た。

その隣でがっくりとうなだれる姿。地面に突っ伏して嗚咽する濃紺の戦士たち。
どんな言葉もこの大粒の涙を表現することができないように思えた。
上がったり下がったり、今季大きな波に翻弄されながらも最後まで戦い抜いた彼らを待っていたものは勝利ではなかった。
痛すぎる、と言ってしまえばそれまでの、降格という現実だった。

雄雄しき戦士たちよ、何をその胸に抱くのか。
悲しくて、悔しくて、無力感に襲われて、自分を責めて、もうだめだと立ち止まるかもしれない。
しかし思い出してほしい。元々Aグループの座は用意されたものではなかった。自分たちが泥まみれになって、苦しんで、必死の思いで手に入れた。時は経ち人が変わっても、チームには変わらないものがある。
大丈夫。もう一度、立ち上がれる。前を向ける。
必死に築いてきた「濃紺の誇り」を捨てることをしなければ。

さあ、ここからが立教にとって本当の勝負のときではないか。
一年で、絶対にAグループに戻ってこなければならない。
一度は別れを告げたBグループで、足踏みするだけでなく、体を張って、志を絶やさずに。
簡単なことではないだろう。来年はおそらく公式戦も土のグラウンドだ。
それでも、立ち上がってほしい。

何度も言う。
立教の努力の才能は尊敬に値する。
そのひたむきさは信じるに足る。

大丈夫。もう一度――。

濃紺には勝利の涙が似合うじゃないか。

【二年間チームを指揮してきた横溝コーチ】
前半は風下の中、すごくいい試合をした。後半、入りをもっと詰めたかったが余裕を持ちすぎた。時間がなくなってミスの悪循環。今季は得点力がないことをだましだましでやってきたけど、結局最後まで成熟しなかった。ディフェンスは1部でもやっていける。立教の良さはまじめなところ。一生懸命な素直さを持っているところが他と違うと思う。

【今年先頭に立って部を牽引してきた高須主将】
もう、三年生以下に「申し訳ない」の一言。出られなかった四年生にも…。前半はゲーム的に見れば悪くなかったが、今日は内容云々よりも負けたことが全て。今季は気持ちのムラがあって難しかった。主将としては、戦う気がないやつはグラウンドに立つ資格がないということを根本に据えてやってきた。自分の責任は大きいと思っている。来季は今の三年生が人数もいるし、いい素材もいる。申し訳なかった。立教の良さは仲がいいところだと思う。それをいい方向に転がせられればいい。

【絶えず気持ちを前面に出し続けた川村副将】
春からFWが弱点だったので、スクラムやモールで負けないようにしてきた。スクラムは強くなったが、夏には出来ていたモールが公式戦では甘くなった。(意識していたことは)自分はチームを行動でひっぱるタイプ。積極的に最初に何でもして、行動で示してきた。(後輩達へ)来年は濃紺の波を体現してほしい。2部では圧倒、そして打倒成蹊で頑張ってほしい。ラグビーは気持ちが重要。理屈じゃない。(4年間を振り返って)4年生の時が一番辛かったが良い経験ができた。1、2年のときは自分が目立つことばかり考えていた。でも3年にもなると立教が大好きになっていて。それからは立教のため、チームのためにプレーするようになった。立教が好きです。

【冷静な目で真面目にチームを見つめる荒牧副将】
先制だけはされないようにしていた。風下でキックも有効じゃなくゲインも出来ず、反則で悪循環。前半は1点差だったので何とかなると思った。後半は風上のアドバンテージをうまく使えず、逆にミスも多く、DFでも前に出られなかった。用意していたキックプランもやっていったが、遅すぎた。ノックオン、キャッチミス、孤立した状態でアタックにいってペナルティをとられたり。悪循環だった。接点での強さの差を利用したかった。15人が最後まで一体になれず、自分たちが出来ることをやらなかった。それでも覆せると思った。今年はムラのあるチーム。自分たちの学年が6人しかいなくて下の学年をまとめきれなかった。そのためチーム力が伸びなかった。スコアは違っても今日の試合は青学戦の時と同じような状況でやられてしまった。ふがいない。(後輩達へ)3年前に立教が上がった時に東大は落ちた。東大は今はBの中盤にいる。来年、1年でリベンジしてほしい。Bにいては上手い選手も立教に入って来ない。Bにとどまってはいけない。来年、1年で戻って欲しい。(立教の武器は)80分間走りきること。2、3人でもデカイ相手にタックルにいって倒す気迫。それに磨きをかけてほしい。アタックで取りきる能力をつけて、1年で帰って欲しい。メンバー外の同期、後輩、1部に昇格させた先輩たちに本当に申し訳ない。来年戻ってきて欲しい。

 

(文章:麻田 江里子)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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