2024年8月31日(土)
西 亜利沙(2年・SO/CTB)
「パリの地で桜を」
オリンピックを終えた感想を教えてください。
1番の正直な感想は、悔しいです。自分たちが望んでいたメダル獲得には程遠く、儚く終わってしまったという後悔が残っています。勝ち切ることの難しさ、一瞬の勝負で勝敗がかかってくる重みを感じました。しかし、7万人の方々の前でプレーできたことはすごく楽しかったですし、スタジアムに入った時の景色は忘れないと思います。
印象に残っている試合やプレーはありますか。
特にフランス戦です。男子フランス代表が先に優勝していたこともあり、試合会場にはフランスのファンが多くアウェイだということを非常に感じました。その雰囲気の中で自分たちのプレーをすることは難しく、プレッシャーを感じて相手の勢いにのまれてしまい、大敗してしまいました。しかし2日目のブラジル戦が1番サクラセブンズらしい試合ができたと思います。この試合は、絶対に勝たなければならないというプレッシャーがありましたが、今までこだわり続けてきた『立』『動』『戦』をチーム全員が体現した結果、勝利することができました。自分自身もアタック、ディフェンスともに身体を張って戦うことができました。
オリンピックと普段の試合の違いはありましたか。
全く違いました。普段はあまり緊張しないタイプなのですが、7万人という観客数の多さに圧倒され、緊張しました。夢の舞台でもあったオリンピックに両親を連れて来れたことも、自分の中では大きく力に変えられた部分だと思います。
オリンピック前と後で気持ちの変化や、ラグビーに対する考え方の変化はありましたか。
3日間しかなかったため最初の方は気持ちの持ち直し方が難しかったのですが、良い意味で「吹っ切る」ことと、「一瞬の勝負に勝つ」ことを覚えました。オリンピック中の出来事なのですが、1日目のアメリカ戦では自分のプレーが上手くいかず、一瞬の勝負に負けていたと感じました。しかし、せっかくの4年に1度の特別な舞台なので相手より早く動いて早く判断して自分の強みを出す、という部分にフォーカスをして2日目、3日目に挑めたことが良かったと思います。
いつからオリンピックを意識し始めましたか。
2016年リオオリンピックの時に初めてオリンピックの女子ラグビーを見て、漠然とオリンピックに出たい、という気持ちが湧いてきました。2021年東京オリンピック後からの3年間は、ずっと代表入りすること、オリンピックに出ることだけを考えて練習に励んでいました。高校3年生の時に初めて代表に呼んでいただいてからは本格的にオリンピックを意識していました。
チーム最年少でしたが、チームではどのような存在でしたか。
ゲームコントローラーであるSOやCTBとしてプレーするため、ランでスペースに仕掛けて味方を生かすプレーが強みであり、役割だと思います。また、明るくチームを引っ張ることや、勢いを与えることも最年少としての役割であったと思います。自由にさせてもらえる環境で、先輩たちも優しかったため、チームを元気づける存在でいることを意識していました。ロッカールームの雰囲気が緊張している時は、歌ってみるなど、ポジティブな雰囲気作りは自分の役割だと思って取り組んでいました。
ラグビーを始めた理由を教えて下さい。
父がラグビーをやっており、小さい時にラグビースクールに連れて行ってもらいました。たまたま私よりも先にラグビーをやっている女の子がいたので、その友達の誘いもあり5歳から始めることになりました。同じラグビースクールに女子ラグビー選手が何人かいて、女子でやるラグビーが楽しくてずっと続けていましたが、中学になると環境がなくなってしまい、続けているのが自分だけになってしまいました。そうなった時に、女子ラグビーの受け皿を増やしたいという想いと、負けず嫌いな性格でここまで続けられました。また、1番はやっぱり、ラグビーが好きだから続けているという強い気持ちが大きいです。家に帰ってもラグビーはずっと見ているくらい大好きです。
ラグビー生活の中で、挫折したことはありますか。
去年の合宿期間中に怪我をしてしまい、遠征を途中離脱しました。そのせいで、選ばれていた次の大会も離脱することになり、去年の夏は苦しい夏でした。自分の身体を第一に考えなければいけないですが、ここでチャンスを掴まないと、という身体と気持ちのバランスを取ることが難しかったです。試合に出られない期間も長かったので、悔しい気持ちがありました。どうしても自分と他の同じポジションの人を比べてしまい、メンバーに選ばれないことに対して、他の人より自分はどこが劣っているのか、などのマイナス面しか見られなくなってしまいました。しかし、自分のことは自分が1番知っていて、信じることができます。自分と向き合う時間が増え、怪我や自分の強みを見つめ直すことが出来ました。弱みも克服したいと考えるようになり、自分のことを改めて考え直して乗り越えていきました。
憧れの選手はいますか。
女子ラグビー日本代表の中村知春さんです。今年36歳になりますが、現役で、代表チームで最年長のレジェンドです。代表活動を続けている中で知春さんの人間性に触れ、尊敬、憧れの気持ちを持つようになりました。私は、特にパリオリンピックで一緒に戦ってきたサクラセブンズのオリンピックメンバー22人への感謝の気持ちを忘れず戦うことができたのも知春さんの言動があったからだと思います。
立教大学ラグビー部で仲良い選手はいますか
大上さん(3年・大上翔)と同期の女子スタッフのみんなです。大上さんには、プレーが上手くいかない時などに相談するなど、頼らせてもらうことが多いです。同期の女子スタッフのみんなとは同じ新座キャンパスということもあり、オフの日やキャンパスでもよく一緒に過ごしています。オリンピックのためにパリに旅立つ時には、オリジナルTシャツを私のために作ってくれて応援してくれた、大切な友人です。
これからの目標はありますか。
4年後、ロサンゼルスオリンピックで桜を咲かせることです。スコットに入れるかはまだ分からないですが、とにかく必死に前だけを見て日々頑張りたいです。またワールドシリーズはまだ続いていくので、安定してベスト8以上に入れることを目指して頑張ります。
HPをご覧の皆様に一言お願いします。
日頃より立教大学ラグビー部のご支援、ご声援ありがとうございます。また、遅い時間帯ではありましたがパリオリンピックの応援ありがとうございました。今回の悔しい結果を受け止め、4年後、満開の桜を咲かせられるように頑張ります。「大学選手権出場」「ジュニア選手権昇格」に向け選手、スタッフ全力で取り組んでいますので、引き続き応援のほどよろしくお願いします。